木材腐朽菌が引き起こす木材の強度低下|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2018.08.27 / 更新日 2021.01.13
湿気・カビ腐れ対策
木材腐朽菌が引き起こす木材の強度低下
WRITER
WRITER
木村 健人
しろあり防除施工士
シロアリ・木材腐朽菌に対する木材保存・薬剤性能評価について在学中に研究。2009年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。数千件のシロアリ調査・駆除に従事。現在はWEBマーケティングを担当。
木材腐朽(木材の腐れ)は担子菌類というキノコの仲間や、一部の子のう菌類や不完全菌類というカビの仲間が引き起こす木材の劣化現象です。これら木材の腐朽を引き起こす菌類を一般的に「木材腐朽菌」と呼びます。木材腐朽菌は、さらに
- 褐色腐朽菌
- 白色腐朽菌
- 軟腐朽菌
の3つに分けられます。このページでは木材腐朽菌の特徴や腐朽が起きた木材を放置しておくことのリスクについて紹介していきます。
それぞれの木材腐朽菌の特徴
3種類の腐朽菌の特徴をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
褐色腐朽菌の特徴
木材を褐色に変色させるため褐色腐朽菌と呼ばれます。一般的にスギなどの針葉樹を好んで腐朽し、腐朽が進行すると木材はサイコロ状になり手で摘むと粉末状になる特徴があります。
白色腐朽や軟腐朽よりも木材の強度低下を引き起こします。家屋での木材腐朽は褐色腐朽菌がほとんどです。
白色腐朽菌の特徴
木材を白色に変色させるため白色腐朽菌と呼ばれます。一般的に広葉樹を好んで腐朽する種類が多いです。菌糸が白いから白色腐朽という業者を見たことがありますが、それは間違いです。褐色腐朽菌も白い菌糸を伸ばします。主に自然界で発生が見られますが、ホシゲタケのように家屋の木材を腐朽する白色腐朽菌も存在します。
軟腐朽菌の特徴
褐色腐朽菌でも白色腐朽菌でも腐朽できないような高含水率の木材を腐朽させます。木材の表面だけ腐朽していく特徴があります。
木材腐朽菌は木材の主要成分を分解できる
腐朽菌が菌糸を木材に広げた状態
木材腐朽菌は、木材の成分を栄養とします。木材は主に「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」で構成されており、鉄筋コンクリートに例えると、セルロースが鉄筋で、ヘミセルロースが鉄筋を繋げる針金、リグニンがすき間を埋めるコンクリートのような役割を担っています。
これらの成分は普通の菌では分解が難しい(難分解性)のですが、木材腐朽菌だけは分解・吸収して自分の栄養とすることができます。褐色腐朽菌はこのうちセルロースとヘミセルロースを同程度分解します。白色腐朽菌はセルロース、ヘミセルロース、リグニンを同程度分解します。
木材腐朽菌を放置すると強度は著しく低下する
セルロースは木材を支えるための鉄筋です。これが細胞単位で分解されていのです。分解が始まると木材の質量は減少します。ちなみに質量が50%を切ったら強度は全く無いレベルです。では質量が5%だけ減少したら木材強度はどうなるのでしょうか?
たった5%でも強度は著しく低下します。また、圧縮強度の試験でも、質量の減少が5%で45%の圧縮強度の低下が認められています。木材腐朽は、極めて初期の段階で木材内の構成成分を壊してしまうのです。それに、木材腐朽菌は目に見えるものでは無いため、初期段階で発見するのは困難です。ということは、木材腐朽は発生しないように予防をしておく事がとても大切といえるでしょう。