シロアリには「好きな木」がある?ヒノキやスギ、ヒバは強い?注意すべき木材|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2021.01.30 / 更新日 2024.09.28
シロアリ駆除
シロアリには「好きな木」がある?ヒノキやスギ、ヒバは強い?注意すべき木材
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
「シロアリが好きな木は何ですか?」
「スギ(杉)やヒノキ(檜)、ヒバは強いと聞きました」
シロアリが食べられない木材はほとんどありません。どんな木材にとってもシロアリは天敵です。しかし、実はシロアリにも好みがあることをご存じでしょうか。この記事ではこのような声をもとに、シロアリが好む木材や苦手な木材について解説します。
目次
シロアリが好きな木の共通点
一般的にシロアリに対する木材の抵抗性は、大きく4つの区分があります。硬い木か柔らかい木、心材か辺材、晩材か早材、広葉樹か針葉樹、この4つです。
①硬い木よりも柔らかい木を好む
シロアリが好きな木材は柔らかい木です。シロアリも生き物なので餌となる木材は食べやすいものを優先します。つまり、柔らかくて食べやすいものを好む、ということなんですね。逆に硬くて目の詰まった木材は食べにくいため好みません。
シロアリが好きな柔らかい木の代表格はアカマツ、クロマツなどのマツ材やモミ材、2×4材として有名なSPF材、ホワイトウッドなどです。もしこれらの木材が建物の構造体として使われているならば要注意です。逆に、スダジイやタブノキなど硬い広葉樹はシロアリが好まない樹種とされています。
アカマツ、クロマツ、エゾマツ、モミ、SPF、ベイツガ、ベイマツ、ホワイトウッド(オウシュウトウヒ)、レッドウッド(オウシュウアカマツ)、スギ(辺材)など
②心材より辺材を好む
木材には心材と辺材があるのをご存じでしょうか。丸太を切った時の中側に近い木材を心材、外側に近い木材を辺材と言います。
辺材は見た目の良さから建築では主に仕上げ材に用いられますが、自身の身を守るための成分が心材よりも少なく、シロアリの被害に弱いのが特徴です。一方、心材は腐れにも強くシロアリの被害にも比較的強いため、建築では家を支える重要な構造部材に多く用いられています。
このことからも分かる通り、心材よりも辺材のほうがシロアリの食害対象になりやすいのです。
心材の香りはシロアリが避ける
心材は木材の中心部にある”赤身”と呼ばれる部分です。そこには樹種特有の香りがありシロアリが嫌います。この香りの正体はテルペン類と呼ばれる揮発性の精油成分の1種です。
テルペン類のような精油成分はフィトンチッドとも呼ばれ、1つの樹種に大抵数十種類は含まれています。木の香りはこの組み合わせで決まるんですね。良い香りとして有名なヒノキ、ヒバなどの樹種には多くのテルペン類が含まれています。森林浴は、これらの木が出す揮発したテルペン類を浴びているのです。
さて、このテルペン類に防腐・防蟻効果があることは古くから知られており、テルペン類を多く含む樹種は建築材料として広く用いられてきました。樹種を具体的に挙げると、ヒノキ、ヒバ(アスナロ・ヒノキアスナロ)、スギ、ローズウッド(シタン)などです。
樹種 | 含まれる成分 |
---|---|
ヒバ(アスナロ・ヒノキアスナロ) | ヒノキチオール、β-ドラブリンなど |
ヒノキ | ヒノキオール、α-カジノール、ピネンなど |
スギ | δ-カジネンなど |
ヒバにはヒノキチオールというテルペン類が多く含まれています。名前からしてヒノキに多く含まれていそうですが、実際は日本のヒノキにはほとんど含まれていないんですね。その代わりヒノキには、ヒノキオール、α-カジノール、ピネンなどのテルペン類が多く含まれています。スギ材にはδ-カジネンというテルペン類が多く、これが抗菌作用や防虫効果を持っています。
ちなみに今紹介した木材の中でもシロアリの好みには差があり、【 ヒバ>ヒノキ>スギ 】と、先に挙げたものほど食べられにくいとされています。
ただし、これらの樹種であっても耐蟻成分は辺材には含まれないため、辺材部分はシロアリに強いとは言えず普通に被害を受けます。
ヒバ(アスナロ・ヒノキアスナロ)、ヒノキ、スギ、サワラ、ベイスギ、ベイヒバなど
③晩材より早材を好む
樹木の断面には年輪がありますよね。この年輪の部分にも名前があって、晩材と早材と呼ばれます。晩材は硬いのが特徴で、年輪の線の部分に該当します。早材は色が薄い部分で柔らかいのが特徴です。柔らかい木材はシロアリの大好物ですから、晩材よりも早材がシロアリに食べられやすいのです。
早材が柔らかい理由は春から初夏にかけて活発に成長するためで、針葉樹の仮道管や広葉樹の道管が大きく形成されることで低密度になります。晩材は夏場以降成長が遅くなる時期にできるため密度が高く濃色になります。シロアリはこの年輪(晩材)を残して食害を進めます。
④広葉樹より針葉樹を好む
一般的にシロアリは広葉樹よりも針葉樹を好む傾向があると言われています。ただし、先にお話したとおり心材であれば針葉樹材にも耐蟻性がある樹種も多くありますので、一概に広葉樹より針葉樹がシロアリに好まれやすい、とは言えません。
木の「種類」以外の要素
樹種以外でシロアリの好みが分かれるとしたら水分量の関係や腐朽の有無が挙げられます。
木材中の水分量によるシロアリの好み
水分はシロアリが生活するにあたりとても重要な要素の一つであり、木材を食害する時にも木材が持つ水分量の違いで寄りやすさが変わります。シロアリが最も好む水分量(含水率)は約80%以上であることが多く、イエシロアリよりもヤマトシロアリのほうがより高含水率を好む傾向があります。(参考文献:シロアリと水の話 吉村剛)
つまり同じ木材であっても、より湿度が高くなりやすい場所や雨漏れ等により外部から水分の供給がされたときにはその木材は他の木材に比べ食害の対象となりやすいことになります。
腐朽の有無によるシロアリの好み
以前から腐朽した木材にはシロアリが付きやすいと言われています。これは、木材を腐らせる腐朽菌が何らかの物質によってシロアリを誘引しているのではないかと言われてきたからです。実際、最近の研究によってイエシロアリを誘引する物質(MVOC)が特定されており、腐朽の有無によってシロアリの好みが変化すると考えられます。
シロアリが好む木、シロアリに強い木
以上のことを踏まえて、シロアリが好む木、シロアリが苦手な木がどういうものかを見ていきましょう。
シロアリが好む木(耐蟻性小) |
---|
・すべての樹種の辺材 ・アカマツ ・エゾマツ ・クリ ・ベイマツ ・モミ ・ホワイトウッド ・SPF |
耐蟻性が中程度の木 |
---|
・カシ(心材) ・カラマツ(心材) ・ケヤキ(心材) ・スギ(心材) ・ツガ(心材) ・ヒノキ(心材) ・ブナ(心材) |
シロアリが苦手な木(耐蟻性大) |
---|
・ヒバ(心材) ・コウヤマキ(心材) ・イヌマキ(心材) |
以上が代表的な樹種の耐蟻性です。表上で示したとおり、全ての樹種の辺材はシロアリに対して弱いため、絶対にシロアリに食べられない木は基本的に存在しません。
その中でも、心材の耐蟻性については樹種による差が出る部分ですので、住宅の構造など耐久性の求められる箇所で使用する場合は樹種の選択も大切になってきます。
結論:基本的にどんな樹種でもシロアリに食べられる
樹種によるシロアリの付きやすさの違い、木材の部位による違いなど、シロアリの好き嫌いは確かに存在します。しかし、木材だけでシロアリを防ぐことは現実的ではありません。
それは、どんな樹種でもシロアリに対して弱い部位があるためです。つまり、木造住宅である以上、どのような家であっても、何も手を打たなければシロアリの被害を受ける可能性があります。鉄骨造の家ですら、玄関框などの内装に使われている木材に被害が及ぶことがあるのです。人間にとって大切な住まいは、シロアリにとって食糧倉庫です。どんな種類の木材を使った家であってもシロアリ被害の可能性はゼロではありません。
ヒバやヒノキなら安心、と安易に考えるのではなく、木造であれば必ずシロアリのリスクがあるのだと理解しておきましょう。
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