シロアリの巣ってどこにあるの?作る場所や見つけ方を徹底解説!|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2020.08.04 / 更新日 2022.06.11
シロアリ駆除
シロアリの巣ってどこにあるの?作る場所や見つけ方を徹底解説!
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
このような疑問にお答えします。
多くの方はおそらくシロアリの姿を直接見る機会がない分、シロアリがどのような場所に巣を作り生活しているのか、その全貌は未知に覆われていると思います。
とはいえ自分たちの家を食べてしまうシロアリの巣について「しっかりと不安を取り除くための対処法を知っておきたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
このページを読んでいただくと
- シロアリが巣を作る場所
- シロアリの巣の見つけ方
- シロアリから建物を守るための対策
これらについて知ることができます。それでは、未知なるシロアリの巣に迫ってみましょう!
目次
シロアリの巣は大きく3タイプ
シロアリと一概にいっても、地球上には様々な種類のシロアリが生息しています。シロアリの巣も同様に形や作りなどの特徴は種類によって異なります。
シロアリの巣は大まかに
- 食べた場所がそのまま巣になるタイプ
- 地中に自分たちで巣を作るタイプ
- 蟻塚を作るタイプ
の3タイプに分けることができます。
食べた場所がそのまま巣になるタイプ
特定の巣を自分で作らずに餌となる木材を食べた時にできる空間(食害痕跡)をそのまま巣として利用するタイプです。
- ヤマトシロアリ
- カンザイシロアリ
などがこのタイプの巣を作ります。
ヤマトシロアリの巣は基本的には自然界の枯れた木の奥深くに作られ、巣の中心(女王と王のいる空間)を見られる機会はほとんどありません。しかし時として私たち人間の建物を食べてその内部に巣を作ることもあります。
人間の建物を食べる時は、土の下にある本体の巣から「蟻道」と呼ばれる土のトンネルを伸ばしながら餌である木材まで移動するのも特徴です。
ヤマトシロアリの巣は見た目が汚く汚れているように見えがちです。これは、巣の内部の乾燥を防いで湿度を適度に保つために、自分たちで持ち込んだ土を詰めていることが多いためです。
カンザイシロアリ系(アメリカカンザイシロアリやニシインドカンザイシロアリなど)はヤマトシロアリと同様にエサとして食べた場所をそのまま巣として利用しますが、湿潤な環境で過ごすヤマトシロアリに対して乾燥した木材の中で生活を営むのが特徴です。
食べた場所を巣にするタイプのシロアリの巣づくりは、ペアとなった女王と王のシロアリが木材に侵入し、木部内部を削りながら産卵場所となる空間を作るところから始まります。
その後家族が増えていくにつれ、食害も進み、食べた後にできる空間はそのまま巣として利用されるようになります。
ちなみにカンザイシロアリは一つの空間に生息している個体の数はそれほど多くありませんが、その代わりに「分巣」と呼ばれる小分けの巣を分散して作ります。
地中に自分たちで巣を作るタイプ
食材となる木材は完全に食材としてだけ見て、それとは別に巣を自分たちで作成するタイプです。このような巣を作る種の代表格はイエシロアリです。また、地中ではありませんが似たような巣を樹上に作るタカサゴシロアリという種も存在します。
イエシロアリは自身の排泄物や土を唾液と混ぜ合わせることによって粘土状の素材を作り、それを器用に張り付けながら網目状の層が幾重にも重なり合う巨大な巣(本巣)を作っていきます。巣は表面側は比較的もろく、触ればパリパリと割れてしまうほどですが、中心に行けば行くほどその強度は増していき、中心はほとんど石のように硬くなっています。
巣には入り組んだ網目状の層で区切られた空間が張り巡らされており、その中心部に女王と王のいる部屋が作られます。この網目状の層は土中に埋まっている時は、ある程度の湿度を保つよう働きアリ達によって制御されています。
また、餌となる木材の場所が本巣に近い場合は本巣からヤマトシロアリと同様に蟻道を伸ばして食べに行きますが、距離が離れている場合は経由地となる小分けの巣(分巣)を作ることが知られています。そのため、この種の仲間は水の確保さえできるのであれば壁の中だろうが小屋裏の中であろうがお構いなしにどんどん巣を作っていきます。
分巣には繁殖可能な個体がいることはなく、繁殖する個体(創設女王・副女王・創設王)は要塞のごとく強固に守られた本巣内の方に留まっています。
ちなみに先ほどカンザイシロアリも分巣を作ることをご紹介したと思いますが、カンザイシロアリの場合は「擬職蟻」と呼ばれる独自の生態を持っており、万が一分巣が本巣と切り離されるなどの問題が起きたとしてもすぐに独立した巣として体制を立て直すことが可能で、この事がカンザイシロアリの完全駆除を非常に困難にする原因となっています。リスクを分散させることにカンザイシロアリはとても優れているといえるでしょう。
蟻塚を作るタイプ
日本には生息していませんが、地上に土を盛り上げて塚を作り巣にするタイプです。有名なのはオーストラリアなどの乾燥地帯に生息する
- ツカイエシロアリ
- セイドウシロアリ
や、タイなどに生息する
- スミオオキノコシロアリ
- キイロマルガシラシロアリ
などです。
塚の大きさはその種によって異なりますが、材料として使われるのはイエシロアリと同様に土と排泄物を唾液で練ったものであり、地中にある本巣の上に聳え立つものもあれば、蟻塚内部が巣になっているものもあります。
蟻塚は空調設備や保温効果、要塞としての強固な守りになります。
塚には無数の穴が空いていて内部の巣までつながっていますが、そこから熱を放出して暑さを凌いだり、夜に巣の中を温かく保つ機能も備わっています。
その他にも、熱帯アジアやアフリカに生息するキノコシロアリの仲間は塚の内部に菌床部屋が設けられており、そこでキノコを栽培して生活するといった活用をする種も存在します。
このように日本だけでなく世界中には様々なシロアリが生息しており、それぞれが独自の巣を構築し、生活しているのです。
シロアリの巣の見つけ方
ここからはシロアリの巣の見つけ方についてご紹介していきます。日本に生息するシロアリは大きく
- ヤマトシロアリ
- イエシロアリ
- カンザイシロアリ
の3種類ですので、これらのシロアリの巣の見つけ方をご紹介していきます。
ヤマトシロアリの巣の見つけ方
ヤマトシロアリの巣を見つけることと、ヤマトシロアリを探すことはほぼイコールであるといえます。
なぜなら、ヤマトシロアリは先ほどご紹介したとおり、食害を進めていった場所(エサとして食べて空洞になった木材)をそのまま巣として利用しているからです。
とはいえ女王と王がいる中心部である巣の本体は、通常は自然界の大木の根っこ付近の奥底であることが多く、その場所を見つけることはほぼ不可能といっていいでしょう。
しかし「私たちの建物やその周辺で巣を作りやすい場所」ならばある程度の見当をつけることができます。
ヤマトシロアリは湿潤な暗い場所を好みますので、私達の建物の周辺だと
- 床下
- 浴室
- 玄関
などで比較的被害が発生しやすくなっています。建物の外周だと
- 庭の朽ち木
- 放置しているダンボールの箱
- 古いウッドデッキ
などを巣にすることがあります。建物周辺で巣にされやすい場所に関してはこちらの記事でも解説をしていますので詳しく知りたい方は是非ご覧ください!
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/termite-countermeasure-diy/
ヤマトシロアリが巣を作るかどうかは「水分を確保しやすいかどうか」が大きく関係しています。ヤマトシロアリの被害は基本的には建物の1階部分にとどまることが多いですが、雨漏りや結露が酷い場合は壁内部や天井部、2階にまで被害が広がることがあります。被害が出た場所全体がヤマトシロアリの巣になってしまうのです。
イエシロアリの巣の見つけ方
先ほどもご紹介したように、イエシロアリの巣には
- 本巣
- 分巣
の2種類が存在します。
建物がイエシロアリの被害に遭っている場合、早々に見つけられるのは中継地として作られた分巣である場合がほとんどで、女王と王を守っている本巣は浴室下の地中や大木の下など、生息している環境下で最も強固で安全な場所に作られています。
分巣を見つける事は本巣よりも比較的かんたんです。被害箇所を辿り、ある程度大きな被害部の周辺の壁や天井を剥がしてみると、まるで石板のように固められた分巣を見つけることができます。天井裏や小屋裏では空間が広いので木部に直接張り付く球体状の巣を見ることもあります。
では本巣を見つけるためにはどうしたら良いのでしょうか。最もシンプルなのは、被害の規模が最も大きな場所に目星を付けてその周辺を入念に調べるというやり方です。
室内ならば、例えば浴室のタイル壁にドリルで穴を開け、その穴に金属の棒を差し込んだときにバリバリと刺さる感触が手に伝わってくればそこを壊して掘り起こしてみると本巣が見つかることがあります。
もちろん建物内には本巣がない可能性もありますので、いくら探しても本巣らしい痕跡がない場合は建物の周辺を探す必要があります。例えば、建物の周りに枯れた大木がある場合はシロアリの被害の痕跡があるかどうかを確認し、もしあった場合は幹の根本付近にドリルで穴を開けてみると本巣が見つけられる場合もあります。
とはいえ、イエシロアリの行動範囲は半径100m近くに及ぶこともあるため、本巣はそもそも敷地内に存在しない可能性も十分考えられます。それだけ本巣を見つけるのは難しいのです。
カンザイシロアリの巣の見つけ方
カンザイシロアリもヤマトシロアリと同様に食害を進めていった場所をそのまま巣として利用しているので、被害を見つけた時はそこに巣があることを意味します。
カンザイシロアリはヤマトシロアリやイエシロアリと違い木材に侵入するときには土を介さずに直接飛んで移動しますので、知らない間に建物のあちこちに被害が点在してしまう可能性があります。
巣を見つけるための一番基本的な方法は「糞口」と呼ばれる糞を木の外に排出している穴を見つけることです。壁際で黄色い小さな粒が積もっているのを見かけたらそこにカンザイシロアリの巣があることが考えられます。詳しくはこちらの記事でも紹介していますので詳しく知りたい方は是非ご覧ください
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/america-shiroari/
シロアリの巣から建物を守るための対策
では最後に「シロアリの巣から建物を守るためにはどうすればいいのか」についてご紹介していきます。ここでも先ほどと同様にヤマト、イエ、カンザイの3種類のシロアリについて考えていきましょう。
ヤマトシロアリの巣の対策
ヤマトシロアリは建物の侵入経路となる場所に薬剤を散布しておくことで、巣の直接的な駆除を行わなくても建物が被害に遭ってしまうことを防ぐ事ができます(この方法のことをバリア工法といいます)。
既に建物のどこかで被害が発生してしまっている場合には侵入経路への薬剤散布と同時に、シロアリが生息している箇所に巣が作られていることになりますので、木材に直接ドリルで穿孔を行って内部に薬剤を注入し、周辺のシロアリを直接駆除する必要があります。
もし、建物への主な侵入経路である床下への薬剤散布が難しい場合は地中のシロアリの巣を直接駆除する「ベイト工法」を行うことで建物を守ることができます。
イエシロアリの巣の対策
イエシロアリもヤマトシロアリと同様に土を介して建物に侵入しますので、侵入経路に薬剤を散布するバリア工法で予防を行うことは可能ですが、ヤマトシロアリに比べて活動が活発なため、地域によっては施工後の保証期間をヤマトシロアリよりも短くしている業者も存在します。
建物が被害に遭ってしまった際の駆除においても、分巣をいくら駆除しても意味はなく本巣にダメージを与えるような処理をしなければ駆除効果は得られません。
そのため、イエシロアリの駆除にはベイト工法により地中の巣を直接駆除する方法が取られることが多いです。まずは、建物側は液剤により駆除を施しておき、その後建物周辺にベイト剤を設置することで建物にやってくるイエシロアリが毒餌にヒットし、巣までシロアリが薬剤を運んでくれるという仕組みです。ベイト工法は液剤処理に比べて時間はかかるものの、見えない場所に巣を構えているシロアリを確実に攻撃することができますので、予防・駆除に有効な手段であるといえるでしょう。
カンザイシロアリの巣の対策
カンザイシロアリはヤマトシロアリやイエシロアリとは異なりバリア工法やベイト工法での予防・駆除を行うことができないため、対策は非常に難しいといわれています。
カンザイシロアリの巣の拡大はヤマトシロアリやイエシロアリに比べて非常にゆっくりであるという特徴があります。糞らしきものを見かけた場合は放置せずに業者に相談するようにしましょう。
とはいえ、先ほどもご紹介したようにカンザイシロアリはリスク分散に長けており、木材の内側に点在する見えないカンザイシロアリの巣の駆除は非常に困難です。駆除を依頼する際は、再発してしまうリスクが高い事を覚えておきましょう。
まとめ
今回はシロアリの巣について種類や見つけ方、対処方法などについてご紹介してきました。シロアリの巣は自然界には無数に存在しており、シロアリは地球環境のバランスを保つ影の功労者でもあります。しかし私たち人間にとっては建物に被害を及ぼす害虫でもありますので、正しい知識で対策を行うことが大切です。
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