シロアリに外来種は存在する?生息地域や見分け方、対策方法などをご紹介|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2021.02.02
シロアリ駆除
シロアリに外来種は存在する?生息地域や見分け方、対策方法などをご紹介
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
このような疑問にお答えします。
日本にはこれまでブラックバスやアルゼンチンアリをはじめ、数多くの外来種が持ち込まれ、定着してきました。
シロアリも数は多くないものの、定着を果たした種が幾つかいます。
このページでは外来種のシロアリについて
- 名前
- 特徴
- 生息地域
- 対策方法
などについてご紹介していきます。
日本に定着を果たしたシロアリにはどんなものがいる?
- アメリカカンザイシロアリ
- ニシインドカンザイシロアリ
- ネバダオオシロアリ
日本に定着した外来種のシロアリで有名なのはレイビシロアリ科に属する種で和名では「カンザイシロアリ」と呼ばれています。
国内で発見されたカンザイシロアリは
- アメリカカンザイシロアリ
- ニシインドカンザイシロアリ
の2種類ですが、
被害の大多数は「アメリカカンザイシロアリ」によるものです。
ニシインドカンザイシロアリについては、2003年の研究報告では「神奈川県座間市の米軍基地で発見されたものの、定着までは確認されていない」とありました。
しかし2020年の報告では「ある地域での定着が確認され、数も徐々に増えている」としていることから、非常にゆっくりとしたペースではありますが、生息地を広げていると言えるでしょう。
レイビシロアリ科以外だとオオシロアリ科に属する「ネバダオオシロアリ」という種も侵入している地域があります。
ネバダオオシロアリは森林の中に生息しており、今のところ家屋への被害報告は確認されていません。
ちなみに、今や日本を代表する2大シロアリの一つとなっている「イエシロアリ」も、元は中国からの外来種とされています。
外来種のシロアリ | 主な特徴 |
---|---|
アメリカカンザイシロアリ | レイビシロアリ科では最も勢力が大きい |
ニシインドカンザイシロアリ | 2020年になってわずかに定着が確認 |
ネバダオオシロアリ | 森林に生息し、家屋への被害報告はない |
(イエシロアリ) | 在来種として扱われ、多数生息しているが大元は外来種と言われている |
外来種のシロアリの生息地域
イエシロアリを除く外来種のシロアリは、生息している地域は限定的です。
とはいえアメリカカンザイシロアリの勢力はかなり深刻となっており、1976年に江戸川区での最初の発見以降、
と全国で発見が確認されるようになりました。
生息エリアは基本的には暖かい地域が中心ですが、暖房設備や断熱材の進化による建物の保温性能の上昇、アメリカカンザイシロアリの原産地である北米との気候の類似などから、北陸地方や東北地方といった寒い地域でもある程度活動ができます。
一方、最近まであまり名前を聞かれることがなかったニシインドカンザイシロアリは、神奈川での繁殖、定着が確認されています。ネバダオオシロアリの生息は更に局地的で、兵庫県の一部山林にのみ定着が確認されています。
外来種のシロアリの在来種との違い
外来種のシロアリの在来種との違いを見ていきましょう。今回は現在最もメジャーな外来種のシロアリである「アメリカカンザイシロアリ」との違いをご紹介します。
- 職蟻の形態
- 体の大きさ
- 生活の場
職蟻の形態
カンザイシロアリの在来種との大きな違いは職蟻の形態にあります。
シロアリは1匹1匹に「階級」が与えられており、それぞれの役割を持っています。職蟻は「働きアリ」のようなものです。
在来種であるヤマトシロアリは基本的に一度与えられた役割が変わることはあまりありません。
一方、カンザイシロアリの仲間はどの階級にもすぐに変化できる特殊な生態を持っており、この職蟻を「擬職蟻」といいます。
体の大きさ
カンザイシロアリの大きさはヤマトシロアリと比べると一回り大きく、体形もがっしりして迫力があります。
外敵から仲間を守る役割を持つ「兵蟻」が持つ「顎」の形の違いも特徴的です。
兵蟻の大顎はヤマトシロアリでは挟まれても逆に顎のほうが折れてしまうのではないかと思ってしまうほど細く、華奢な形状をしていますが、アメリカカンザイシロアリはまるでクワガタのように強靭でいかにも強そうな大顎を兼ね備えています。
とはいえ性格は穏やかなようで、無理やり挟ませるようなことをしない限り向かってくるようなことはありません。
生活の場
ヤマトシロアリなどの在来種が生活する場は「土の中」です。
一方、カンザイシロアリの生活の場は木住種とでも言いましょうか、生活に「土」が関わることはありません。
- 枯死した樹木の内部
- 人工的に作られた木製の柵や杭
- 家屋内の木部
など一生を木質内で過ごし、一切地中に潜ることがないのが特徴になります。
このことに関連するカンザイシロアリの大きな特徴は木材からの糞の排出です。
木材に「糞口」と呼ばれる穴を作り、そこから糞を外に排出するのですが、見た目は俵型の砂粒状でよく見ると外周に溝があるのが特徴です。
もし見つけた場合にはカンザイシロアリを疑いましょう。
ただし、他の生き物の糞や木屑等と間違えやすいこともあるため、特徴の違いなどをまとめたこちらのコラムも参考にしてみてください。
▼家の中に木くずが・・・これってシロアリ被害?
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroari_kikuzu/
まとめ
今回は外来種のシロアリについてご紹介してきました。
徐々に数を増やしつつあるシロアリの外来種は在来種に比べて駆除が難しいことから非常に厄介な生き物です。もし思い当たるような症状を見かけた場合は、被害が拡大する前に早めに対処する事が大切です。
シロアリ1番!では外来種のシロアリの駆除のご相談も受け付けています。
もし、「これってシロアリの被害かな・・・?」と思った時は是非お気軽にご相談ください。