シロアリは何で木を栄養にできるの?「セルロース」との関係を解説!|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2021.04.15
シロアリ駆除
シロアリは何で木を栄養にできるの?「セルロース」との関係を解説!
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
こんにちは。シロアリ1番!の田中です。
今回は、「シロアリのエサ」についてご紹介していきます。
「シロアリが家を食べる」というのは聞いた事があると思いますが、
どうしてシロアリは家を食べる事ができるのか
シロアリの体で何が起きているのか
知っている人は少ないはずです。
ポイントは「セルロースの分解」にあります。このページでは「セルロース」が何なのか、についてのご紹介をしつつ、シロアリが栄養を摂る仕組みをお伝えしていきます。
こういう事を勉強しておくだけでも、悪徳業者を見分ける力がつきますよ。
ぜひ自分の知識として持ち帰ってもらえたらなと思います。
シロアリはセルロースを栄養にしている
シロアリは木を食べる、というのはおおむね正解です。
ですが、木は大きく3つの成分でできている事をご存知でしょうか。
木材の主要成分は「リグノセルロース」という物質です。そしてリグノセルロースを作っているのは
- セルロース
- ヘミセルロース
- リグニン
という3つの成分です。
鉄筋コンクリートをイメージしてみましょう。
これらの成分を鉄筋コンクリートに例えると
木材の成分 | 鉄筋コンクリート |
---|---|
セルロース | 鉄筋 |
ヘミセルロース | 鉄筋をつなぐ針金 |
リグニン | コンクリート |
となります。
シロアリが主に栄養にしているのは「セルロース」と「ヘミセルロース」。
ほぼ100%の効率で分解する事ができます。
セルロースをシロアリが分解できる理由
先ほど、シロアリが主に栄養にしているのは「セルロース」と「ヘミセルロース」という事を一緒に勉強しました。
さて、ここまでのお話しだけだと「シロアリは自分でセルロースを分解している」と思われると思います。
確かに半分正解ですが、半分不正解です。
というのも、確かにシロアリ自身もセルロースの分解は行うのですが、「ある存在」にも分解を手伝ってもらっています。
シロアリは腸の内部に
原生生物
原生生物の表面で共生する細菌
バクテリア
・・・・
など、色々な生き物を住まわせています。この生き物たちがセルロースの分解を助けてくれているのです。
元々セルロースやヘミセルロースは分解がとても難しい物質です。人間もセルロースを分解する事はできません。ティッシュペーパーは食べられないですよね。
しかしシロアリは自分以外の生き物の協力があるからこそ、木材を食べる事ができるのです。
ちなみにこの分解能力の違いからシロアリは
- 高等シロアリ
- 下等シロアリ
に分けられます。
下等シロアリの腸は前腸、中腸、後腸からなり、後腸部で原生生物と共生しています。
一方で高等シロアリは自らの持つセルロース分解酵素以外に後腸内に無数のバクテリアを住まわせており、これらが多くの分解酵素であるセルラーゼ類を持ち、分解を手伝っていることも分かっています。
シロアリが食べるセルロースは私たちの家でも使われている
私たちの住んでいる建物において必要不可欠な木材はどんな家でもどこかしらに必ず使用されており、セルロースは皆様にとって実はとても身近な存在と言えるでしょう。また、建物の断熱材にもセルローズファイバーが使われる事があります。
それを聞くと「シロアリに食べられてしまうのでは?」と思われるかもしれませんがご安心ください。
抽出されたパルプ(繊維:セルロース)には難燃剤としてホウ酸が添加されており、ホウ酸の力によってシロアリからの食害は完全に遮断されるため心配する必要はありません。
ですが、木材においては木自身にシロアリの食害を防ぐものとして多少のテルペン類(防虫効果を生む木材の香り成分の一種)を含む樹種もありますが、基本的にはどんな樹種であってもそれ単体だけではシロアリの侵入を防ぐことはできません。
私たち人間がそのシロアリの脅威から木材を守るためには防蟻処理などの対策は施す必要があるのです。
まとめ
今回はシロアリとセルローズの関係についてご紹介してきました。
シロアリが分解が難しい木材をどうして食べる事ができるのか、わかっていただけたのではないでしょうか。
もし、「シロアリについてもっと詳しく知りたい!」と思っていただけたようでしたら、こちらのページでも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください!
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroari/