妊婦や小さな子供がいてもシロアリ駆除を行って大丈夫?|シロアリ1番!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2019.02.05 / 更新日 2023.05.23

シロアリ駆除

妊婦や小さな子供がいてもシロアリ駆除を行って大丈夫?

ベイト工法のベイト剤

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

(公社)日本しろあり対策協会 防除技術委員

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel

「シロアリ駆除は妊婦や小さな子供がいてもできますか?薬剤の影響が心配です。」

 

こんにちは。シロアリ1番!の田中です。今回はこのような疑問にお答えします。

通常シロアリ駆除は床下にシロアリ対策用の薬剤を散布することで行いますが、やはり心配されるのは「健康・安全に対するリスク」だと思います。特にお腹の中に子供を抱えている妊婦や乳幼児がいる家庭では「薬剤は少なからず人体に影響があるのでは?」と不安になってしまうと思います。

結論から言うとシロアリ駆除は妊婦や乳幼児がいる家庭でも問題なく行うことはできます。とはいえ注意しなければいけないこともあります。

このページでは

  • シロアリの駆除で妊婦や乳幼児がいても行える理由
  • シロアリ駆除の施工中に妊婦や乳幼児に対して気をつけること

 

についてご紹介していきます。

シロアリ駆除が妊婦や乳幼児にも安全な理由

シロアリ駆除は妊婦や乳幼児がいても問題なく行うことができます。なぜかというとシロアリ駆除に使用する薬剤は人体や環境への安全性を裏付けするための様々な実験が行われており、その安全性が証明されているからです。

なぜ「危険」と思われているのか?

シロアリ駆除に使われる薬剤と聞くと「人体に害がある」というイメージが強いのではないかと思います。確かに過去をさかのぼると、シロアリ薬剤には人体に害を及ぼすような成分が使われていた時代も事実としてあり、「シックハウス症候群」と呼ばれる社会的な問題にもなりました。

これは1990年代後半から2000年代前半にかけて、新築の建物に住み始めてまもなくめまいや頭痛などの症状を訴え、身体に違和感を覚える人が続出したというもので、中にはもうその家には住めなくなってしまうといったケースもありました。

こういった経緯から

「シロアリの薬剤=人体に有害」

というイメージは多くの方が持たれています。しかし現在ではこのような過去の問題を踏まえ、安全性を意識した薬剤の開発が行われています。

例えば、シックハウス症候群の原因となった

  • ホルムアルデヒド(接着剤の成分)
  • クロルピリホス(シロアリ薬剤の成分)

 
などは現在いずれも使用が禁止され、取り扱いには厳しく制限が課されています。

薬剤の安全性はどうやって確かめている?

シロアリ駆除に用いられる薬剤の中でも、特に安全性が確保されている薬剤は「公益社団法人日本しろあり対策協会」により認定を受けている薬剤です。認定薬剤は、外部の審査機関による様々な安全性試験をクリアし「人体や環境への影響が少ない」薬剤であることが証明されているものになります。

外部の審査期間では具体的に何を確かめて、何をもって安全としているのでしょうか、その例をいくつか挙げてみましょう。

①毒性・発がん性の検査
まず、妊婦や乳幼児への影響というよりも根本的な項目として

  • 毒性の検査
  • 発がん性の試験

 

などが行われます。

②催奇形性・生殖毒性・変異原性の検査
また、妊婦や乳幼児に影響があるかどうかを確かめる実験としては、妊娠中のマウス・ラットやその子どもを対象に

  • 催奇形性試験(奇形児が生まれるリスクを確かめる試験)
  • 生殖毒性試験(子どもを作る機能へのリスクを確かめる試験)
  • 変異原性試験(突然体に異常が起こるリスクを確かめる試験)

 

などの実験を行っています。

③水生環境有害性試験
その試験は家だけでなく環境全体に対しても

  • 薬剤が地面から溶け出さないか
  • 水や空気を汚してしまう心配がないか
  • 魚類などに悪影響がないか

 
などのリスクを確かめる「水生環境有害性試験」も行われています。

④揮発性の有無を確かめる試験
かつての薬剤は揮発して生活空間まで入り込んでくる成分が多く使われていました。この成分はVOC(揮発性有機化合物)と呼ばれています。

そのため、安全面への影響があるだけでなく、施工後もずっと匂いが残り続ける、という状況でした。

現在市場に出回っているシロアリ薬剤は、VOCは成分としてほとんど含まれていないものばかりです。施工中も普段通り生活していただいて問題ありませんし、施工後も薬剤の匂いが残り続ける事はありません。

床下の出入りで使う点検口の周辺には一時的に匂いがこもる事があります。とはいえこれも点検口の蓋を閉じてしばらく換気を行えば、その日のうちに気にならなくなるケースがほとんどです。

認定を受けていない薬剤には注意が必要
「公益社団法人日本しろあり対策協会」により認定された薬剤は、数々の試験を通過しています。

しかしシロアリ薬剤の中には、認定薬剤ではないものも存在します。良くあるのは「天然成分」を売りにしている薬剤です。

天然成分と聞くと一見安全に思えるかも知れません。しかしいくつか注意しなくてはいけないことがあります。

まず、天然成分由来の薬剤も自然界には存在しない物質であることに変わりはありません。あくまでも天然成分「由来」なのです。

また、薬剤は通常複数の成分を配合して作られますが、天然成分が配合されている割合はわずかであるというケースもあります。天然素材を謳っている薬剤であれば必ずしも安全というわけではないので注意が必要です。

「ベイト工法」を選ぶことも一つの選択肢

確かに現在市場に出回っているシロアリ駆除に使われる薬剤は安全ですが妊婦や乳幼児に限らず中には

  • アレルギーで化学物質全般が使えない
  • どうしても身体への影響が心配

 

という方もおられると思います。そのような方でも「ベイト工法」でのシロアリ駆除ならば問題なく実施することができます。ベイト工法は

  • 使用する薬剤量が液剤よりも大幅に少ない
  • 床下に直接薬剤を散布するような仕組みではない
  •    

  • 建物外部での対策となるため人体との接触がない

 

といった特徴があります。

僅かな化学物質でアレルギー症状が起きてしまう方も使うことができ、とても安心できる工法の一つです。

もし健康上のリスクが不安な方は、ベイト工法でシロアリを駆除する「シロアリ1番!プレミアム」をご検討ください。

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妊婦や子供がいる家でのシロアリ駆除の注意点

シロアリ駆除の薬剤は人体や環境にも安全性が認められている成分を使っているので直接健康に害を及ぼすことはありません。しかし妊婦や乳幼児のいるお家では注意を払わなければいけないことも有ります。

具体的には

  • ホコリの巻き上げ
  • 点検口からの落下
  • 台所が使えなくなる
  • 化学物質過敏症の有無

 
などです。

点検口周りの巻き上げ

施工前に施工スタッフによる注意喚起をお願いしておりますが、施工中はなるべく点検口周辺には近寄らない、近寄らせないことをおすすめします。なぜかというと、施工中はどうしても人が動くのでホコリが舞い上がることがあるためです。

シロアリ駆除は床下での作業になります。作業員は床下と地上とを

  • 使用する薬剤の切り替え
  • 電動ドリルやホースなどの機材の搬入

 

などの理由で何度も行き来する必要があり、点検口周りはどうしても床下の空気を吸い上げることによるほこりの巻き上げ、床下の匂いがしてしまうといった傾向があります。

もちろん、施工中は養生をしっかり行うことでほとんどのほこりは養生シートに吸着し、除去されますが全てのほこりをキャッチできるわけではありません。

また、妊婦や子供の場合、のどの粘膜を刺激して咳の原因になってしまうことも考えられます。

施工中や施工後半日ほどはなるべく点検口周りには近づかない、近づけないようにしましょう。

点検口から離れた場所にいれば問題はありませんし、匂いやホコリの巻き上げも一時的なもので、施工後換気を行えば半日〜1日ほどで気にならなくなります。

点検口からの落下

床下収納庫
シロアリ駆除は薬剤の安全性だけでなく、物理的な事故にも注意する必要があります。特に注意すべきは点検口からの落下です。

乳幼児が不用意に点検口に近づいてしまうと、誤って床下に落ちてしまう可能性もあり、非常に危険です。

大抵の場合は居住者が普段から点検口に近づかないようにするための工夫(仕切りなど)が行われていることも多いですが、大人でも誤って足を踏み外してしまう、というケースがあるくらいです。万が一を考えて別の部屋に移動させておく事をおすすめします。

施工中に台所を使えなくなる

点検口が作られる場所は主に「台所」と「洗面所」です。もし台所の点検口を使う場合は、床下での作業中に台所や冷蔵庫が一時的に使えなくなる場合があります。

赤ちゃんは水分をまめに補給する必要があると言われており、必要なものはあらかじめ取り出しておくことをおすすめします。また食品類を少しだけ別の場所に確保しておくといいかもしれません。

化学物質過敏症など特別な症状

中には「化学物質過敏症」という症状の方もおられます。

もし日常生活で

  • 芳香剤
  • 洗剤
  • 蚊取り線香
  • ヘアスプレー

 
などの化学製品を使って気分が悪くなるような場合は注意が必要となります。シロアリの薬剤でも同様の症状が出てしまう可能性が考えられます。

もし疑わしい場合は、一度病院でシロアリ対策工事を実施しても問題がないか、専門医に確認を行ってもらうことをおすすめします。(もし万が一薬剤散布が厳しい場合でも、先ほどご紹介したベイト工法ならばシロアリ駆除を行うことが可能です)

さいごに

今回は、シロアリの駆除に使われる薬剤が妊婦や乳幼児のいるお家でも安心して使えるのか、というテーマでお話ししてきました。

シロアリ1番!で使う薬剤は、人体だけでなく環境にも安全性を考慮しながら開発されています。そのため、妊婦や乳幼児がいる家庭でも問題なく施工を行うことができます。

とはいえ、床下と外とをつなぐ点検口周りには様々なトラブルが起きるリスクがひそんでいます。妊婦さんの場合、身体が過剰に反応してしまうことも考えられます。

もしシロアリ駆除をご希望でしたら、こちらのページで全体の流れについて詳しくご紹介していますのでぜひ一度ご覧ください!

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