床下の湿気対策は必要?不要?効果や対策方法をプロが解説|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2018.06.12 / 更新日 2023.12.15
湿気・カビ腐れ対策
床下の湿気対策は必要?不要?効果や対策方法をプロが解説
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
「床下湿気対策を勧められたけど必要なの?」
「床下が湿っていると言われたけど、何をすればいい?」
床下の湿気対策は建物の劣化防止や私たち人間の健康を害さないためにとても大切です。しかしその反面、湿気対策の商品は昔からトラブルの原因にもなってきました。「床下の湿気対策をやってよかった!」と感じてもらえるよう、この記事では床下の湿気対策が必要な家と不要な家の見分け方や、湿気によるリスク、床下湿気対策の方法について蟻害・腐朽検査士である私が解説します。
目次
床下湿気対策は悪質業者に要注意
「業者の言いなりで湿気対策商品を施工してもらったけど効果を感じない」という声をお客様から以前頂いたことがあります。床下湿気対策の商品は、実は床下の商材を扱う業者が単価を上げるために悪用することが多い商材です。
- シロアリ駆除と一緒に湿気対策を提案する
- 様々な湿気対策商品を複数提案する
- 毎年の点検で湿気対策を提案する
上記の3例が最も多い事例です。特に、シロアリ駆除と一緒に床下換気扇や床下調湿剤を同時に見積もる、いわゆる3点セットと呼ばれる販売手法は昔から頻繁に使われます。「シロアリ駆除を頼んだつもりが湿気対策を勧められてしまった・・」という事例は本当に多いです。
もちろん湿気対策が必要な家もありますが、必要でない家でも床下の湿気対策を提案する悪質業者が少なからずいます。それらを見分けるには、私たち消費者自身も湿気対策に関する知識が少なからず必要となります。
床下湿気対策が不要な家・必要な家の見分け方
まず、自分の家に床下湿気対策が必要か不要かを判断する方法を解説します。この見分け方を知れば、ご自身で確認することもできますし、業者の提案が正しいか間違いかを見分けることも可能です。
床下湿気対策が不要な家
床下がコンクリート(ベタ基礎や土間コンクリート)の家は基本的に湿気対策を行う必要がありません。床下の湿気対策が必要な家は基本的に土壌が露出した家です。床下をコンクリートで覆った構造であれば、土壌からの湿気は床下空間にたまることはありませんので特殊な事情がない限りは床下湿気対策は不要と言えます。
また、コンクリートで覆っていること自体が湿気対策です。もしも自宅の床下がコンクリートなのに湿気対策を勧めてくる業者がいたらその場で契約することはせず、一度冷静にその必要性を考えてみましょう。
ただし、新築住宅の場合、基礎コンクリートには水分が大量に含まれており、その水分が10年ほどかけて外部に放出されます。高気密住宅や換気が不十分な住宅だと、新築〜築10年ごろまでは湿気によるカビなどのリスクがあるため、高気密住宅などでは24時間換気や全館換気などを切らないようにして、そのリスクを減らすことを心がけましょう。
床下の湿気対策が必要な家
では続いて、床下湿気対策をする必要のある建物についてみてみましょう。湿気対策をする必要があるかどうかを見分ける方法は現象から判断する方法と、数値で客観的に判断する方法があります。
現象から判断する方法
住んでいて何かしらの違和感を感じている場合、床下湿気対策が有効な場合があります。
- 床下からカビ臭がする
- 押し入れにカビが発生する
- 畳にダニが発生する
- 畳がジメジメする
このような現象で既に悩まれている場合、床下の湿気が原因であることが多いです。床下点検口を開けてみて、土が露出して湿った土のニオイが漂っていたら、床下換気扇や防湿シートなどで改善する可能性があります。
しかし、室内のダニ発生やカビの発生は必ずしも床下の湿気に起因する訳ではありません。もしかしたら、壁の中で雨漏れが起きていることも考えられますし、ダニもネズミの発生など違う原因であることもしばしばあります。
このような場合は床下を実際に調査してどの様な湿気対策が必要か判断します。場合によっては床下の湿気対策は不要であることも考えられますので状況の確認が非常に重要です。
数値で客観的に判断する方法
住んでいて気にならない場合でも、床下の湿気対策が必要な場合があります。必要の有無を確認するには、木材含水率を調べることで判断が可能です。
木材含水率とは、木材がどれくらい水分を含んでいるのかの指標となる数値です。木材の含水率がどれくらいなのかによってカビや木材腐朽菌の生えやすさが変わりますので、含水率計という機材を使って客観的に判断します。
雨漏れや水漏れで濡れていない床下の木材(束柱、大引き等)に含水率計を押し当てて測定します
木材含水率 | リスク | 対策の必要性 |
---|---|---|
15%前後 | なし | 不要 |
20%以上 | 木材強度低下 | 必要 |
25%以上 | 腐朽菌の発生 | 必要 |
木材含水率が20%を超えると木材自体の強度が低下します。木材強度を保つためには、含水率15%前後に保つことが望ましいため、20%を越えている場合は床下湿気対策をすることで改善させることができます。
木材腐朽菌が発生した土台
含水率が25%を超えると木材腐朽菌(木材を腐らせる原因)が木材に発生します。木材腐朽は木材を全体の5%腐らせただけで木材強度を半分にしてしまうため、シロアリ被害よりも怖い現象です。この数値を超えているのであれば、間違いなく床下の湿気対策が必要です。
床下の湿気対策をやらないことによるデメリット
床下の湿気対策は建物を長持ちさせる為にも健康に暮らす為にもとても大切です。しかしそれは中々イメージできないのではないかと思います。そこで少し視点を変えて、床下の湿気対策を怠たるとどうなるかについて考えてみましょう。
- 木材腐朽(木が腐る)
- カビの発生
- シロアリなど害虫の発生
- 住宅寿命が短くなる
- 住環境の悪化
木材腐朽が発生する(木が腐る)
前章で解説しましたが、木材の含水率が25%を超えると木材腐朽菌が木材に発生します。木材腐朽菌はいわゆるキノコのことで、枯死した木材の分解者として自然界に無くてはならない菌類です。
要素 | 条件 |
---|---|
水分(木材含水率) | 25%以上 |
温度 | 0℃〜50℃(24℃〜32℃が発生しやすい) |
栄養分 | 木材成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン) |
木材腐朽菌は空気(酸素)のある場所で水分、温度、栄養分の3条件が揃うと発生します。これらの中で空気、温度、栄養分は床下の条件的に変えることはできませんが、水分だけは対策が可能な要素です。
腐朽菌に住宅の木材が侵されてしまうことは、住宅強度的にシロアリ被害以上の危険が伴います。木材含水率25%を越えないように床下湿気をコントロールすることが大切です。
カビの発生による住環境の悪化
木材腐朽菌と異なり、カビは木材を腐らせる心配はほぼありません。しかし、喘息やアレルギー症状を誘発するリスクがありますので、住宅の床下にカビを発生させないことが大切です。カビが発生する条件は木材腐朽菌と同じで、木材の水分が多いと生じます。
同様に、床下でたまった湿気が床上に上がってくると部屋全体がジメジメした空間になってしまいますし、床下だけでなく部屋の中もカビが発生する可能性が出てきます。また、カビ特有の臭いが住宅内に漂うことにもなるため、住環境が悪化する要因にもなります。
シロアリなど害虫が発生する
ほとんどの害虫は高湿度の環境を好みます。特に床下で危険な害虫はシロアリです。シロアリは床下を経由して住宅の木材を食害する害虫で、私たちが知らぬ間に侵入しているケースがほとんどです。
被害は床下の土台や大引きなどから始まり柱などへ移行するため、一度侵入を許してしまうと住宅強度的にも厄介な生き物です。シロアリは木材腐朽菌と異なり、乾燥した木材でも食害する可能性がありますが、床下の環境を乾燥させることでそのリスクを減らすことができます。
住宅の寿命が短くなる
湿気対策を怠り、湿度が高い状態を放置してしまうと、最終的に住宅の寿命が縮まる原因となってしまいます。つまり、木材腐朽菌の発生による木材強度低下、シロアリ被害による木材強度低下、湿気による金物等のサビ、などが進行するため、住宅全体に影響を及ぼしてしまうということです。
また、腐朽とシロアリ被害は大地震による倒壊のリスクが生じます。阪神淡路大震災時のデータでは、蟻害・腐朽が発生していた住宅の9割が倒壊していたこともわかっています。
出典:兵庫県南部地震による木造家屋被害に対する蟻害・腐朽の影響(宮野道雄・土井正)
床下の湿気対策でまず自分でやるべきこと
床下の湿気対策は商品を買うことが全てではありません。湿気が気になる場合、まずは自分でできることをやってみるのがお勧めです。
換気孔まわりを片付ける
まずやってほしいのは建物の基礎換気孔がある位置を調べ、目の前に荷物を置いていないか確かめましょう。換気口は建築基準法施行令で防湿方法として定めされているものです。
居室の床の高さ及び防湿方法 第二十二条
二 外壁の床下部分には、壁の長さ五メートル以下ごとに、面積三百平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。
引用:建築基準法施行令第二十二条
- 荷物・鉢などを置かない
- 雑草などは刈り取る
- 換気口の網のゴミを取り除く
どこか1カ所でも塞がっていると、床下の換気がうまく行われず床下の湿度が上がりやすくなってしまいます。上記対策をやるだけでも湿気が大幅に改善されるケースがありますので是非試してみてください。
床下湿気対策はどこに相談すればいい?
もしも、換気孔まわりの手入れでも改善しない場合は、床下の環境に問題がある可能性が高いです。その場合は、専門業者に依頼して自宅の床下の状態を確認してもらいましょう。
基本的には、弊社のようなシロアリ防除業者が床下湿気対策を取り扱っていることが多いので、直接依頼すると素早く対応してくれます。下記に、床下湿気対策を扱う業者一覧を記載します。
シロアリ防除業者 | ・床下専門のため経験が豊富 ・基本的に業者自ら点検、施工を実施 |
---|---|
リフォーム店 | ・提携業者に工事を斡旋 |
ホームセンター | ・提携業者に工事を斡旋 |
リフォーム店やホームセンターでも床下湿気対策を取り扱っていることが多いですが、基本はシロアリ防除業者に施工を発注する形態です。
床下の湿気対策の選び方
床下の湿気対策はいくつかの方法がありますが、ここでは主要な4工法を解説しながら、選び方も見ていきましょう。下に工法の一覧を記載しましたので、金額やメリットの比較としてご確認ください。
工法 | 費用相場 | メリット・デメリット |
---|---|---|
床下換気扇 | 総額15万円前後 | ・床下の空気を排気できる ・土壌の湿気は遮断できない |
床下防湿シート | 総額15万円前後 | ・安価で経済的 ・土壌の湿気を遮断できる |
床下調湿剤 | 総額35万円前後 | ・高価 ・床下の湿度をコントロールする |
テクノガード工法 【プロ推奨工法】 |
総額50万円前後 | ・高価 ・土壌の湿気を遮断できる ・シロアリも防げる |
床下換気扇はこんな人向け
床下の通風が滞っている床下には換気扇を設置する方法が有効です。床下に滞留している湿った空気を排出し、新鮮な外気を取り入れることで床下の湿度を下げるために開発された商品です。モーターでファンを回して湿った空気を物理的に移動させます。
- 換気孔が小さくて換気ができていない
- 床下の湿気が滞っている
- 床下がカビ臭い
このような住宅や症状で悩まれている場合は、床下換気扇の設置が有効です。換気扇は、1階床面積が30坪(90㎡)までの住宅なら2台〜4台(10万円〜30万円くらい)で十分効果があります。中には、通気孔の全てに設置を提案したり、相場を大きく上回る見積もりを出す業者がいますが、悪質業者の手口としてありがちな手法ですので注意しましょう。
また、注意していただきたい点として、取り付けてから1年位でアフターサービスと称して点検し、さらに換気扇を売り込まれてしまうことがあります。「湿気がまだ残っているので追加しましょう」 などと言葉巧みに勧めてきますが、そもそも換気扇を導入する時点で設置する数が間違っていた事になりますよね。
防湿シートはこんな人向け
土壌から上がってくる湿気を遮断するのが防湿シートです。床下の水分の大半は地面から供給されるため、防湿シートを地面に敷くことは根本的な対策となります。
- 土壌が湿っている
- 安価に湿気対策を行いたい
- 床下がカビ臭い
総額15万円前後と比較的安価に施工できることに加えて効果もしっかりありますので、コストパフォマンスは床下湿気対策の中で最も高いです。しかし、土壌の湿気を遮断する必要があるので、局所的に使うのではなく床下の全面に施工する必要があります。全面に施工することができれば抜群の効果を発揮しますが構造上全面施工が難しい場合もある点は要注意ですね。厚さや素材により異なりますが、厚さ0.1mm~0.2mm、ポリエチレン製やEVA樹脂製のものが主流です。シロアリ1番!でも同様のものを使用します。
調湿剤・調湿マットはこんな人向け
調湿材は周りの湿度が高いときに湿気を吸収し、周りが乾燥してくると蓄えた湿気を排出する優れものです。繰り返し吸放湿を行いますので、原理的には半永久に効果があります。
- 床下の湿度が高い
- 床下の臭いも気になる
このような方に向いている商品です。炭が原料のものであれば消臭効果もあるため、臭いが気になる場合にも有効です。施工方法は、防湿シートを敷いた上に調湿剤を撒くものと、袋に調湿剤を詰めた調湿マットの2種類があります。費用は敷き込み代込みで坪当たり1万円~3万円(総額35万円程度)が相場です。
ただ、正直なところ、事前に敷く防湿シートや調湿マットの防湿効果が大きく、調湿剤はあくまでの床下空間の湿度コントロールとしての役割が強いです。調湿剤にこだわりがない場合は、防湿シートのみでも十分効果があります。そのため、シロアリ1番!では積極的なご提案はしておりません。
テクノガード工法はこんな人向け
床下の土壌に樹脂製の防湿皮膜を施工して土壌からの湿気を根本的にシャットアウトする工法です。物理的に遮断することができるため、根本的な解決に繋がります。床下湿気対策の中で最も効果的な施工方法です。こちらは湿気対策だけでなく、防蟻剤成分が樹脂に含まれているため、同時にシロアリ対策にもなります。
施工直後のテクノガード工法
防湿原理は防湿シートと同じですが、防湿シートは床下の端や角などに僅かな隙間ができる点でテクノガード工法と品質の大きな違いがあります。テクノガード工法の場合は、樹脂を散布して皮膜を作る施工法をとりますので、隙間が生じることがありません。
費用は1階床面積1㎡あたり12,500円(税込13,750円)、総額50万円前後となるため高額です。しかし、施工する樹脂は高速道路の路面に使用されるほどの耐久性があるため、一度施工すれば完全に硬化しランニングコストのかからない防湿対策となります。
また、私たちが実際にテクノガード工法を施工をした物件に1年後や5年後に伺うと、床下の湿り気のある嫌な匂いも無くなっていることに気づきます。私たち点検・施工に従事している立場の人間からしても、間違いなく1番オススメできる工法です。
プロ推薦の床下湿気対策「テクノガード工法」を選ぶべき理由
まとめ
今回は床下の湿気対策が必要か不要かについてお話ししてきました。もし湿気に対してお悩みがある場合は、早いタイミングで対策を検討してみましょう。シロアリ1番!では、床下の無料調査では床下の湿気の状態についてご報告しております。もし床下の湿気対策について興味を持っていただけたようらお気軽にご相談ください。
全員がしろあり防除施工士
社員の顔が見える安心力
強引な販売営業ナシ
全ての業務を自社社員で運営
「クリーンなイメージとしてのシロアリ防除業界のパイオニアであり続ける」。私たちシロアリ1番!は、安心で確実なシロアリ駆除・予防をご提供するため、お客様のことを第一に考えたサービス作りをします。点検・工事・お見積りのことなど、シロアリ対策でお困りの点がありましたらお気軽にご相談ください。
シロアリ1番!の無料調査についての詳細
シロアリ1番!のプラン・料金
シロアリ1番!が選ばれる理由
シロアリ1番!トップページへ