羽アリの見分け方【画像付き完全解説版】|アリ?シロアリ?|シロアリ1番!
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シロアリコラム
投稿日 2019.06.13 / 更新日 2023.12.15
シロアリ駆除羽アリ
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羽アリの見分け方【画像付き完全解説版】|アリ?シロアリ?
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大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
「この羽アリは何という種類ですか?」
「大発生した羽アリの見分け方が知りたいです」
部屋の中や敷地で羽アリが大量発生してしまった時、羽アリの建物や人への影響について気になってしまうかもしれません。羽アリと一口に言っても、実際には色々な種類の羽アリがいます。羽アリの代表格、「シロアリ」の羽アリだったら大変ですが、それ以外の羽アリとの違いも結構分かりにくいのです。そこでその羽アリが何なのか、羽アリの見分け方について解説していきます。
目次
そもそも羽アリとは?
羽アリは漢字だと「羽蟻」と書くように、翅(はね)の付いたアリです。アリやシロアリが主に5月から10月ごろにかけての交尾期に、巣から羽の付いた女王アリと王アリ(雄アリ)を飛び立たせ、違う巣の羽蟻でペアとなり新たな巣を作るために発生します。
通常のアリやシロアリには羽が付いていませんが、巣から飛び立つ女王アリと王アリ(雄アリ)は他の巣の羽アリと出会うために遠くへ飛び立つ必要があるため、羽が付いています。
「ハネアリ」「ハアリ」おそらくこの2つで迷われることが多いようですが、駆除業者の間では「ハネアリ」が一般的です。ですが、ハアリも間違いではありません。辞書で調べるとハアリと書いてあることが実は多いのです。実際にはどちらでも大丈夫なのですが、言葉で話すときハアリよりもハネアリの方が意味として伝わりやすいので、ハネアリの方が浸透しているのかもしれません。
羽アリの種類《対処すべきはシロアリの羽アリ》
色々な種類がいる羽アリですが、大きく分けると2種類に分かれます。それがシロアリとアリ(クロアリ)です。この2種以外でもコバエ(小バエ)、ガ(蛾)などの小さな昆虫が羽アリと間違われることがあります。
羽アリの中で最も重要なものはシロアリです。シロアリは木材をエサにする昆虫です。建物で発生しているということは、「家の木材が食べられている」ことになります。日本に生息するシロアリで建物害虫となりうるものは3種ほどで、シロアリの羽アリは主に春から梅雨にかけて発生します。
普通のアリは日本に300種近くが確認されており、私たちの身近な場所でも多くの種類のアリが生活しています。これらのアリは4月から11月にかけて種類ごとに一定の時期に羽アリを飛ばします。シロアリと違い、アリは家に被害を与えることはほとんどありません。
羽アリは人体に危害を加えない
羽アリが発生すると気になるのが羽アリによる人的な被害ですよね。結論ですが、羽アリによる人的な被害は基本的にありません。ほとんどの羽アリは無害です。特にシロアリの羽アリは毒を持っていませんし、大きな顎で噛み付くこともありません。
黒アリの羽アリであっても、ほとんどの種類は無害です。唯一、オオハリアリの羽アリには毒針がありますので素手で強く触ると皮膚を刺され腫れる可能性があります。オオハリアリは6~7月が結婚飛行の中心となるので、種類が分からない場合は、素手で無闇に触らないようにすることが大切です。
シロアリとアリの羽アリを見分ける方法
木材をエサにするシロアリと、木材をエサにできない普通のアリ(黒アリ)の羽アリを見分けることができれば、家に被害が発生しているかどうかをある程度予測することができます。ぱっと見るだけでは区別は難しいかもしれませんが、シロアリの羽アリとクロアリの羽アリには明確な違いがありますので、これを参考に同定してみてください。
ここで注意すべきは、色や大きさでは判別が難しいということです。シロアリの羽アリは5mm~10mmと種類によってサイズに幅があります。黒アリについては、女王アリと雄アリで大きさや形が違いますし、小さなもので2mmから大きなもので20mmと様々です。色についても種類により黒や茶色、赤褐色などの違いがあります。
翅が閉じているときの違い
羽アリを見るときは上側から観察することがほとんどだと思います。上から判断する場合は、触角の形や羽の模様がヒントになります。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
発生時期 | ヤマトシロアリ:4月中旬~5月 イエシロアリ:6月~7月 |
5月~11月に数種が入れ替りに発生 |
触角 | 直線的で数珠状 | くの字型 |
翅の模様 | 網目模様が薄い | 網目模様がはっきり |
シロアリの触角は直線的で、曲がったりはしません。一方、アリの触角は”くの字”に途中から折れ曲がるのが特徴でシロアリとは全く異なる形状をしています。
また、シロアリの羽はくすんだ透明感のない色をしていて羽にある翅脈の模様が細かく繊細です。一方、アリの羽は非常に透明感があり、きれいに透けているのが特徴です。翅脈の模様も大きくはっきりしています。
羽が開いているときの違い
普通、羽を広げた状態で観察できることはほぼありません。ですが、多くの書籍やサイトなどで見分けるポイントとして掲載されているのが、「羽を広げた状態」での比較です。念の為ここでもご紹介します。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
翅の形 | 4枚が同じ大きさ | 前翅が大きく後翅が小さい |
翅の模様 | 網目模様が薄い | 網目模様がはっきり |
触角 | 直線的で数珠状 | くの字型で棒状 |
胴体 | クビレがなく寸胴 | クビレがあり頭部・胸部・腹部に分かれる |
この状態で観察できれば違いが明確です。4枚付いている翅の形は、シロアリでは4枚とも同じ大きさですが、黒アリでは前翅と後翅で大きく違います。また、胴体のクビレの有り無しでもシロアリかクロアリかを簡単に区別することができます。
羽が取れたときの違い
実は、羽アリは自ら翅を切除することがあります。翅が無くなった状態の羽アリは見た目はアリと変わりませんが、シロアリなのかアリなのかを判断することは可能です。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
触角 | 直線的で数珠状 | くの字型で棒状 |
胴体 | クビレがなく寸胴 | クビレがあり頭部・胸部・腹部に分かれる |
ポイントとなるのは、羽がなくなったことによりクビレの有無を容易に観察できるようになった点です。胴体の形に注目してみましょう。明確なクビレがある場合はアリ、クビレがほとんどなく寸胴なのがシロアリです。
羽アリの発生時期
ここまで、羽アリの種類によって発生する時期が異なるとご説明しましたが、ここでは具体的に、それぞれの種類の発生時期をまとめていきます。ここで紹介するのは主に家屋との繋がりがある種類です。
シロアリ | クロアリ | |
---|---|---|
4〜5月 | ・ヤマトシロアリ | |
6月 | ・イエシロアリ ・アメリカカンザイシロアリ |
|
7月 | ・イエシロアリ ・アメリカカンザイシロアリ |
・ケアリの仲間 |
9月 | ・キイロシリアゲアリ | |
10〜11月 | ・サクラアリ |
家屋にダメージのあるシロアリの羽アリシーズンは、4月から5月のヤマトシロアリ、6月から7月のイエシロアリ、アメリカカンザイシロアリに限られます。
イエシロアリの分布は温暖な沿岸部が中心ですので、多くの地域ではヤマトシロアリのシーズンである4月および5月の羽アリに注意すれば、それ以外(6月~11月)の羽アリは殆どが問題ないと言えます。
参考:シロアリの分布
・4月の羽アリは?4月の羽アリを徹底考察
・5月の羽アリは?5月の羽アリを徹底考察
・6月の羽アリは?6月の羽アリを徹底考察
・7月の羽アリは?7月の羽アリを徹底考察
・8月の羽アリは?8月の羽アリを徹底考察
・9月の羽アリは?9月の羽アリを徹底考察
・10月,11月の羽アリは?羽アリを徹底考察
代表的な羽アリの種類
ここまでのお話でシロアリとアリの違いは分かっていただけたかと思います。とはいえ、シロアリ・アリと一概に言っても、たくさんの種類が存在しますし、特徴もそれぞれ異なります。そこでここからはより踏み込んで、代表的なシロアリとアリの羽アリの種類を解説します。
シロアリの羽アリの種類
- ヤマトシロアリ《建築木材加害種》
4~5月の特に4月下旬から5月上旬(ゴールデンウィーク前後)に羽アリを飛ばすシロアリです。例年、雨上がりで暖かく高湿度の日の午前中に大発生する傾向です。羽アリの大きさは5~7mm程度ですが、働き蟻は4,5mmほどの大きさをしています。ヤマトシロアリは北海道の北東部を除く日本全国に分布しており、最も一般的なシロアリです。黒褐色の体色に黄色のラインが胸部に入るため特徴的です。- イエシロアリ《建築木材加害種》
6~7月に大群飛するシロアリです。暖かく高湿度の日の夕方から夜にかけて発生します。光に集まる習性が強く、街灯や建物の灯りに群がる傾向があります。比較的温暖な土地に多く、分布の北限は千葉県および神奈川県の沿岸部です。主に西日本での発生や被害が多い種類となります。ヤマトシロアリよりも大型で、羽アリの大きさは7~10mm程度、職蟻は4~6mmほどになります。全体的に茶褐色のため他の羽アリとは区別しやすいシロアリです。- アメリカカンザイシロアリ《建築木材加害種》
-
主に6~7月ごろを中心に羽アリを発生させます。北米原産の外来種で、羽アリの大きさは約7~10mmと大きく、職蟻も5~8mmと大きいシロアリです。体色は赤褐色で羽は黒く特徴的です。日本では一部地域に定着していますが、その範囲は限られるため見かける可能性は非常に低い羽アリです。
アリの羽アリの種類
- ケアリの仲間
7月に結婚飛行をするアリの代表です。蒸し暑い日の夜間に飛び立つため、灯りに集まる習性があり、家の灯りが外部に漏れている場合、家の光をめがけて飛んでくることがあります。僅かな隙間から室内に侵入することがあるため不快害虫として問題になりますが、害はありません。
また、ケアリは家屋に営巣することがあります。腐朽してボロボロになっている木材や過去にシロアリが侵入していた木材、雨漏れで腐っている壁内などはケアリが好む営巣環境です。その場合は、室内から羽アリが発生する可能性があります。女王アリは8mm、雄アリは4mm程度です。- キイロシリアゲアリ
-
9月に結婚飛行をするアリの代表です。年間を通して最も家屋への誤進入が目立つ種類でもあります。オレンジ色のアリで、蒸し暑い日の夜に飛び立つため、トビイロケアリ同様に家の中への侵入例が非常に多いです。女王アリは7mm程度、雄アリは2mm程度で特に雄アリが網戸をすり抜けて侵入します。家に巣を作ることは無く無害の羽アリです。 - サクラアリ
-
10月以降に羽アリを飛ばす1.5mm程度のアリです。羽アリの発生時期になると巣も活性が高くなり、家屋に侵入することがあります。その際に、羽アリが外壁や室内に発生することがあります。雄アリは2mm程度と小型のため屋外からの侵入も考えられます。
アリやシロアリと間違われやすい羽虫
弊社に郵送でお送りいただく羽アリの現物の中には、羽アリではない昆虫である場合も多く、ここでは今までにあった事例をご紹介します。これらの昆虫は建物に害はありませんのでご安心ください。
- ノシメマダラメイガ
- 穀物害虫として有名な蛾の一種で、「ノシメマダラメイガ」が羽アリとして間違われる事例が複数件あります。翅を閉じている状態の成虫は7mmほどで細長く、シルエットはシロアリの羽アリに似ます。しかし、翅の形状や触覚の形などが大きく異なるため比較すると別物だとわかります。特にメイガの翅は透き通ることはなく、鱗粉があることから、羽アリとは容易に区別することができます。
メイガ類は、穀物だけでなく菓子や乾燥果実、小麦粉などに寄生する害虫です。建物への害はありませんが、室内でメイガが発生している場合は、発生源である食品類を処分する必要があります。 - クロバネキノコバエ
- 室内の観葉植物やカブトムシの飼育ケース内などが発生源となることがある小バエの一種です。体長は1~2mmと小さく、羽アリよりも小さいため区別がつきます。色は黒く、翅は透き通るため羽アリと間違われることがあります。
こちらも建物への害はありませんが、不快害虫として問題になることがあります。根本的に解決するには、寄生されている土を処分する必要があります。
羽アリ発生時のフローチャート-
最後に、羽アリが発生したときのフローチャートから、現在の羽アリの発生状況や特徴をもとに対応方法を確認してみましょう。A~Dに分類しましたので、あなたの羽アリはどこに当てはまるでしょうか。
- Aの場合の対処法
-
発生している羽アリは、ヤマトシロアリ(イエシロアリ)の可能性が高いと言えます。もし羽アリの量が多い場合は、住宅に大きなシロアリ被害が発生している可能性も考えられ、その場合は駆除処理が必要となります。いずれにしましても、まずは床下の状況を正確に把握することが望まれます。シロアリ1番!の無料調査
- Bの場合の対処法
- 敷地や周囲に生息しているシロアリの羽アリと考えられます。しかし既にシロアリ対策をされており、建物自体は守られているため問題はありません。
- Cの場合の対処法
-
外来種のアメリカカンザイシロアリの羽アリである可能性が考えられます。しかし、アメリカカンザイシロアリの生息地域は非常に局所的です。こちらのページでアメリカカンザイシロアリについて詳しくお話ししています。一度ご確認いただき、もし特徴が該当するようでしたら早急に専門業者へ調査を依頼しましょう。
- Dの場合の対処法
-
アリの羽アリの可能性が高いです。アリの羽アリは建物を食い荒らす害虫ではなく、発生も数日から1週間程度で収束します。特に何か手を打つ必要はありません。
しかしながら、羽アリが室内で発生している場合、建物にシロアリが発生する条件が整っているとも言えますので、予防のためにシロアリ対策をご検討いただく機会としては丁度いいと言えます。
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羽アリはシロアリとクロアリの2種類に分けられること、そして注意するべきはシロアリの羽アリだということをお分かりいただけましたでしょうか。羽アリのような虫は普段からいたるところで見かけるので、気にかけることがあまり無いかもしれません。しかし、いざ自分の家の中で羽アリが大発生してしまうと、どのように対処するべきかが分からず不安になってしまうと思います。そんなとき皆様が役立てられるように、羽アリについて網羅的にまとめてみました。
もしも、「いま出てきている羽アリがシロアリの特徴に一致している」であったり、「そういえば5月ごろに家で羽アリを見た覚えがある」という場合は、弊社でもシロアリ無料調査を実施しております。羽アリのことを忘れないうちに、無料調査をご活用してみてはいかがでしょうか。
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