基礎の「はつり工事」提案されたけど影響はない?やって大丈夫?|シロアリ1番!
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シロアリコラム
投稿日 2019.05.08 / 更新日 2023.12.15
シロアリ業者選び
基礎の「はつり工事」提案されたけど影響はない?やって大丈夫?
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
「基礎に穴を開ける工事ってやったほうが良いですか?」
「ハツリを提案されたけどやっても大丈夫?」
シロアリ防除工事で基礎のはつり工事は昔から行われています。しかし、はつりは行って良いものなのでしょうか。建物への影響は無いのでしょうか。この記事では床下の基礎はつりについて解説します。
目次
床下基礎のはつり工事は推奨されない
基礎のはつり工事はよほど特別な理由がない限りはおすすめできません。理由は明確で、基礎耐力が大きく低下するのが大きな理由です。以下に詳しく解説していきます。
理由1:基礎の耐力が大きく低下する
基礎は建物全体の重さを支えているため、基礎に人が通れるような穴をあければ当然耐力が低下します。開口部が他の場所よりも弱くなるため、大地震のときにはそこから壊れていく恐れもあります。
それだけでも十分はつり工事が推奨できない理由になりますが、他にも基礎や構造に対して悪影響となる理由があります。それが鉄筋の露出です。
床下基礎のはつり工事を行うと、基礎内部の鉄筋が露出することになります。鉄筋は空気に触れると錆が進行して鉄筋の体積が膨張するため、やがて周辺の基礎コンクリートを押し出します。結果、基礎の爆裂という現象を引き起こし、基礎が崩れ落ちる原因となるのです。
また、この鉄筋が開口部の邪魔になり切断される場合も多いです。切断されてしまうと鉄筋の意味が無くなり、こちらもやはり耐力低下の原因となってしまいます。
実際のデータとして、横濱茂之氏著”木造住宅基礎の開口補強方法”にて布基礎立ち上がり部をはつり工事で破壊した場合の耐力低下が記されています。その結果、健全な布基礎の16%まで耐力が低下することが分かっています。84%もの強度低下があることを考えると、シロアリ防除工事のためとは言えども、推奨すべきでない工事だということがお分かりいただけると思います。
理由2:湿気対策としての効果もほとんどない
基礎には人通口や通風口と呼ばれる切り欠きが予め設けられています。人通口は人が通るための穴、通風口は通気を取るための穴です。
しかし、これらの穴が無いためにはつり工事を行って通気を取ることがありますが、実際には湿気対策としての効果はほとんど見込めません。基礎をハツれば穴が開くので湿気対策に全く効果がないわけではないでしょう。しかし、湿気の原因は床下空間の高さ、建物の立地、床下の種類などが原因であることが多く、基礎に穴をあけただけでその状況が改善されるかについては疑わしいところです。
業者が基礎はつりを提案する理由
なぜシロアリ防除業者が床下の基礎をはつりたがるのかと言うと、シロアリを確実に駆除するためです。
築年数が経過した古い住宅の場合、基礎で部屋が囲われていることが多く、床下をくまなく移動することができないことがあります。シロアリ被害は床下から進行するため、駆除をするには床下を重点的に処理する必要があり、床下が囲われて侵入できないのは大問題なのです。
もしも基礎で囲われて駆除が出来ない場所が生じてしまうと、駆除が失敗したり、再発してしまう恐れがあります。シロアリ防除業者からすると、「はつり工事」は仕事を完了させるために大切な仕事だったのです。
しかし、前述のとおりはつりは構造耐力を大幅に低下させる工事です。シロアリ駆除でお家を守るために行った結果が、「基礎構造の破壊」では本末転倒と言えるでしょう。
はつり工事の代替案
シロアリ業者としてはしっかりと駆除を行いたい。しかし、建物的に考えるとはつりは推奨できない。このジレンマを解消するにはどうすれば良いのでしょうか。実ははつり工事以外の方法がいくつか存在します。
床下点検口の新設
代替策として最も有効なのが点検口の新設です。基礎と異なり床に穴を開けるのは構造的な影響がほとんどないため、ほぼ全ての家でご提案することができます。
キッチン、洗面所、居室、階段下収納、トイレなど、囲われている場所に応じて設置することができますし、将来的なメンテナンスのためにも点検口を新設しておくメリットは大きいです。
リフォームで点検口を新設する場合、450mm角で作成する場合が多く、1箇所3万円から4万円程度で設置できます。
通風口からの散布
囲われている場所であっても、基礎通風口から薬剤を散布できることがあります。その場合は、専用のノズルを用いて床下全面に薬剤が行き渡るように処置を行います。
ただし、通風口からの散布は直接薬剤を被害箇所に注入する訳ではないため、主にシロアリ予防工事で活用される施工方法です。
床上穿孔注入処理
フローリングなどに6mm〜10mm程度の穴を開けて床下にノズルを差し込んで薬剤を散布する施工方法です。進入できない箇所へコストをかけずに処理ができる点から採用されることが多い施工方法でもあります。施工後に木栓を打ち込み補修を行いますが、僅かな跡が残ります。
基礎のひび割れ(クラック)は問題ない?
「基礎のはつり工事は推奨できない」ということは、基礎のひび割れなどがある場合も気をつけるべきなのでしょうか。
そのひび割れの補修が必要かどうかは、その大きさにより判断するべきです。基礎のひび割れは必ずしも危険というわけではなく、髪の毛ほどの幅のひび割れ(ヘアークラックや乾燥収縮クラックとも呼ばれます)については、新築でもできることがある問題のないものです。ただしひび割れが複数箇所に入っていたり、水平方向に入っている場合は注意が必要です。
国土交通省のホームインスペクションガイドラインでは、幅が0.5mm以上、又は深さ20mm以上のひび割れ(クラック)が指摘事項の対象として定められています。ひび割れを見つけたからといって不安にならずに、一度様子を観察するようにしましょう。
業者から基礎の補修について提案を受けたときは
まずは自分の目で写真をしっかりと確認するようにしましょう。ここで大切なのは、ひび割れがその大きさを比較できる何かと一緒に写っているかという点です。
良心的な業者であれば通常そういった補修の提案をする際、その裏付けとなる具体的な根拠を示すためにクラックスケールなどの道具を用いて撮影を行います。
床下の人通口の高さや配管と配管の幅などは日ごろから床下に潜っている人間でも写真を見ただけでは判断がつかないものです。基礎のひび割れともなればなおさらでしょう。客観的な数値を示してくれる業者かどうかをしっかりと把握したうえで、業者の提案を受け入れるようにしましょう。
まとめ
基礎のはつり工事は過去には広く行われていた施工方法です。しかし、現在では時代遅れと言わざるをえません。
弊社(シロアリ1番!)でははつり工事を行わず、進入できない場所があった場合は床下点検口の新設でご提案しております。「基礎のはつりを勧められたけど心配」「勝手にはつる業者もいるみたいだし」とご不安の皆様にもご安心いただける施工を心がけていますので、シロアリ対策に不安をお持ちの方もぜひお気軽にご相談ください。
全員がしろあり防除施工士
社員の顔が見える安心力
強引な販売営業ナシ
全ての業務を自社社員で運営
「クリーンなイメージとしてのシロアリ防除業界のパイオニアであり続ける」。私たちシロアリ1番!は、安心で確実なシロアリ駆除・予防をご提供するため、お客様のことを第一に考えたサービス作りをします。点検・工事・お見積りのことなど、シロアリ対策でお困りの点がありましたらお気軽にご相談ください。
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